第五話 県産材と職人の技が生む 信州のエコ住宅
第四回 空間を広く使う工夫
K様邸の建築地は都市計画上、建ぺい率の低い地域に指定されています。そのため敷地面積の広さに比べて小さな建物しか建てられないという制約があります。
建ぺい率が低いのは、必ずしも悪いことではありません。隣家との空間が広く取られることで風通しが良くなり、家が長持ちします。そこに住む人たちも隣家外壁の圧迫感や生活音に悩まされず、ゆったりと過ごせます。万一火災などが起こった場合にも延焼を防ぐことが出来ます。
K様邸では狭い建坪を有効に使うため、様々な工夫を施しています。
リビングは吹抜けとしました。狭い建坪の中にわざわざ吹抜けを作るのはスペースの無駄のように思えるかもしれません。
建坪の狭い住宅の場合は壁間の距離が近いため屋内が薄暗くなり、圧迫感を受けがちです。ここに吹抜けと天窓を設けることで明るさと開放感を演出しました。この吹抜けには極太梁と八角形の大黒柱が露出し力強いアクセントとなっています。
外観は四角形の角を切り落としたような特徴的な姿をしていますが、屋内でも階段や二階の吹抜けを囲む手すり壁にも角切りを施しました。直角に交わる部分を減すことで圧迫感を減らし空間を広く感じさせています。
この手すり壁にはもう一工夫。壁の厚みを利用して、出っ張りのない小棚を作りました。こうした作り付け収納を活用して、後から買い足す家具を減らす事も空間を広く使うコツです。
一階、二階合わせて6カ所にホームスプリンクラーを設置。住宅火災で非常に効果の高いホームスプリンクラーですが専用の配管スペースが必要になり、工事費用もかかります。
当社では天井裏を通した水道用送水管(ウィルスボー配管)と共用にする事で少スペース&低コスト化を実現しています。
K様邸は来月末をめどに竣工予定です。
次回は完成した住まいをたっぷりとお見せします。