第三話 冷暖房費ゼロ住宅を目指して
第五回 竣工ギャラリー
さて、今回は目標とした「冷暖房費ゼロ」にどれだけ迫れたかを実験し結果をおしらせする予定でしたが、今年はまれにみる暖冬で未だ満足な実験が出来ておりません。結果のおしらせには今少しご猶予をおねがいします。
そこで今回は「冷暖房費ゼロ住宅」ことT様邸の竣工ギャラリーとして邸内の様子をすこしだけご紹介します。
T様邸の外観はコンパクトな平屋建てですが、正面右にL字型に張り出したアンシンメトリーなレイアウトや、外観からはわからない広いロフト空間を持つ所などは、曲家と呼ばれる日本の古民家の知恵を踏襲した造りです。
玄関の引き戸を開け正面に見える壁には、この家を建てるのに使われた木曽檜をはじめ、杉や唐松などの県産材の端材を磨いて作られた木のタイルが貼られ、地産地消を実践したエコ住宅であることを象徴するモニュメントとなっています。
玄関左手には和室が二間続きます。
一時は新築の家に和室を作らない例も少なからずありましたが、最近では開閉時にスペースを取らない襖や、続き間の襖を外せば広間として使えるなどの和室の高い機能性が見直されています。
玄関右手にはリビング・ダイニング。ソファやダイニングテーブルなど自由にレイアウトできる広く開放的な空間です。
階段下スペースも含め、広いウォークインクローゼットを設置しています。これにより家具を買い足して雑然としてしまうことを防ぎ、開放的なリビングを維持します。
シンプルながらも機能的なキッチンには、屋根に付けた太陽光発電システムを有効に利用でき、また火災の心配の少ないIHクキングヒーターをチョイスしています。
いよいよこのお宅の一番の特徴である、ロフトにご案内します。屋根裏全体を2つのスペースに仕切った大空間は、床面積だけならこのお宅最大の部屋です。
屋根裏部屋と言えばどうしても熱気がこもりがちになるものですが、T様邸の場合は遮熱シートとハニカムパネル、現場発泡ウレタンで作った厚い断熱層と、ダクトを使った強制換気システムと棟換気で熱気を排除。
また大きく採られた窓や天窓により採光も良く、他の部屋と変わらない快適性を実現しました。