第三話 冷暖房費ゼロ住宅を目指して
第四回 工夫の全てを注いで
ただでさえ断熱効果の高いFPパネルですが、今回の「冷暖房費ゼロ住宅」を目指すプロジェクトでは、その上にさらに現場発泡ウレタンを吹付けます。現場発泡ウレタンは、液状のウレタンに圧力をかけて吹付ける事で空気を含んで発泡し、隙間のない断熱層を作り出します。通気性のあるスポンジなどとは異なり、発泡して出来た泡の中に空気が完全に閉じ込められるので、非常に断熱効果の高い素材です。
120mmの厚みのFPパネルに現場発泡ウレタンの層を80mm重ね、これまでにない200mmの厚さの断熱層を作り出します。FPパネルと発泡ウレタン、二種類の性格の異なる断熱層を重ねる事で、より高い断熱効果が得られます。
高気密・高断熱の家で怖いのが火災です。外部からの放水などによる消火がしにくくなるからです。それだけに初期消火の重要性が高まり、新築物件では2006年6月より、既存住宅では市町村毎に施行日が異なりますが火災報知器の設置が義務化されています。
服田建設ではさらに一歩進めて「ホームスプリンクラー」の設置をおすすめしています。火災の初期消火に威力を発揮するホームスプリンクラーですが、従来の工法では専用の配管工事が必要になり費用もかかります。
服田建設の家では冬でも気温が高く凍結の不安も少ない天井裏に、上水道ターミナルを設置して各部屋に分管しています。このうちトイレ用の送水管をスプリンクラーと共用にする事で専用の配管工事を無くし、ホームスプリンクラーの低コスト化を実現しました。
効果の高い断熱層や強制換気システム、給水配管、ホームスプリンクラーなど、壁内・天井内に満載した工夫は内装工事によって隠されてしまいますが、見えない部分にどれだけ手を掛けたかで、家の性能に差がでてきます。
屋根に太陽光発電パネルが載り、現在服田建設が持てる工夫のすべてが注ぎ込まれた家が完成しました。
次回はいよいよ目標の「冷暖房費ゼロ住宅」にどれだけ迫れたか、実験し測定結果をおしらせいたします。