リフォーム編1「住宅・再生!リフォーム現場レポート」
最終回 家族の思い出も継承
外観で目を引くのは銅メッキ板葺きの屋根。実際それほど大きなお宅ではないのだけれど、銅メッキの屋根が堂々とした風格を醸し出している。
二階のベランダにはサンルームがしつらえられていた。雨の日の洗濯物の心配以外にも、空気を暖める空間として機能して、冬場の室内暖房補助に有効だという。もちろん総サッシで開け放しが出来、夏場の風通しも確保出来る。
玄関のドア周りには従来のタイル貼りが残されている。昭和40年代に作られたお宅はこうした仕様が多く、私の家もドア周りにはタイルが貼られている。
築30余年を経てもタイルは色褪せしないものの、ドア自体は長年の風雨にさらされて色褪せが激しく、タイル面との対比がいっそうみすぼらしく見せてしまっている。
リフォームを終えたMさんのお宅ではドアは新しい物に取り替えられていた。すこしデザイン的に凝った感じのドアは、周りのタイル面や銅メッキの屋根と調和して、格調高く来訪者を迎えてくれる。
キッチンは近頃対面式とかが流行りだそうだけど、Mさんのお宅ではリフォーム前と同じく窓に向いたレイアウト。間取りやスペースの都合も有るけれど、使い勝手を考えれば慣れ親しんだレイアウトを継承する事も大切なのだと言う。
レイアウトこそは同じだけれど、シンクや換気扇は新しく機能的な物に取り替えられ、壁には汚れを落としやすい素材が使われて、清潔を保ちやすい工夫がなされている。
縁側にはトリプルガラスの高断熱サッシを通して日の光があふれているが、紫外線を反射する「Low-E ガラス」の恩恵で床や壁、カーテンなどの日焼けを防げる。
また意外な恩恵としては「Low-E ガラス」の金属膜コーティングのせいか、屋外から見ると普通のサッシよりも鏡状の映り込みが強く、目隠し効果も期待出来る。
和室にはリフォーム前から残された長押や框、柱が多く露出しているが表面を磨き直され、落ちついた色に塗り直されて、新しく塗り直された壁と上品に馴染んでいる。
こうして再生されたMさんのお宅を通じ、耐震性や断熱性などの高い機能を盛り込み、また汚れや日焼けなどを落としてリフレッシュしながらも、家族の思い出を損なわない方法として「リフォーム」は有効な手段だと感じた。